2020年2月20日更新
縁結びの「葛原岡神社」~鎌倉の恋愛スポット~
鎌倉・源氏山公園内にある「葛原岡(くずはらおか)神社」をご存知ですか?
ここ数年、縁結びの神様として、人気のパワースポットとなっています。
そもそも葛原岡神社は、南朝の功労者として日野俊基(ひのとしもと)を祀った神社です。
その神社がなぜ縁結び祈願にご利益があるのか?その謎を探ってみましょう。
葛原岡神社の由来
源氏山公園内にある葛原岡神社(くずはらおかじんじゃ)の標高は82m、さほど高くはありませんが、傾斜がきついせいか、標高以上に高く感じます。
金運スポットとして有名な「銭洗弁天(ぜにあらいべんてん)」や、いろんな運気にご利益があるといわれる「佐助稲荷(さすけいなり)神社」も近くにあります。
北鎌倉駅から30分、鎌倉駅より30分とアクセスは不便ですが、「おうちカフェ」や「小さなリストランテ」等が点在している閑静な住宅街を散策するもの楽しみの一つです。
源氏山公園は、北鎌倉から鎌倉大仏まで向かうハイキングコースにもなっており、桜の名所としても有名です。
御祭神は日野俊基
「葛原岡神社」の御祭神(ごさいじん)は後醍醐(ごだいご)天皇に仕えた日野俊基(ひのとしもと)ですが、1887年(明治20年)に明治天皇が創建した比較的新しい神社です。
明治天皇は、鎌倉時代の倒幕運動を江戸時代の倒幕運動になぞらえ、その功績を後世に伝える必要性を感じたことから、葛原岡神社を創建したのです。
日野俊基(ひのとしもと)は、鎌倉時代後期の公卿(くぎょう:国政を担う職)です。
下流の儒家(じゅか:孔子の教え=儒教を広める学者)の出身ですが、学問に優れていたため1318年に即位した後醍醐天皇の信任を得て、蔵人頭(くろうどのとう)まで出世し、天皇の秘書的役割を果たした人です。
後醍醐天皇は朱子学(しゅしがく:南宋の朱熹(しゅき)によって再構築された儒教の新しい学問体系)に傾倒していましたが、日野俊基はこれに影響を受け鎌倉幕府倒幕のための謀議に参加します。
御醍醐天皇の相続争いに巻き込まれた
そもそも後醍醐天皇はなぜ鎌倉幕府の倒幕を試みたのか?簡単に言えば相続争いです。
後醍醐天皇の実父である後宇多法皇(ごうだほうおう)は、後醍醐天皇の兄である後二条天皇(ごにじょうてんのう)の遺児である皇太子邦良親王(くによししんのう または くにながしんのう)が成人して皇位につくまでの中継ぎとして御醍醐天皇を即位させたため、後醍醐天皇は自分の子孫に皇位を継がせることを許されていませんでした。
後醍醐天皇は、邦良親王を皇位に継がせることを容認している鎌倉幕府への反感を募らせ倒幕を計画します。
日野俊基は側近として諸国を巡り、反幕府勢力を募りますが、2度にわたる倒幕計画は失敗します。1度目は同族の日野資朝と一緒に逮捕されますが処罰は逃れます。しかし2度目の倒幕計画で再び捉えられ1332年、倒幕計画に参加した罪で葛原岡にて斬首しました。
日野俊基の辞世の句
「秋を待たで 葛原岡に消える身の 露のうらみや世に残るらん」
(訳:秋が来る前に、葛原岡に露と消える我が身の恨みが、強くこの世に残るでしょう)
日野俊基の辞世の句です。
「大黒様」のパワーにあやかり縁結びを成就
最近では縁結びの神様として、大変な人気パワースポットとなっている葛原岡神社ですが、そもそも南朝の功労者として日野俊基を祀った神社が、なぜ縁結び祈願を行っているのでしょうか?
「大黒様」が縁結び祈願の由来
神社の鳥居を過ぎた左側にある小さな祠にかわいらしい「大黒様」がお祀りしてあります。
大黒様は良縁の神様として知られています。この大黒様が縁結び祈願の由来です。
御神体の木像は 二宮尊徳(にのみやそんとく)邸内の楠木(くすのき)で作られたと伝えられる由緒あるもので、この大黒様にあやかり恋愛成就の願いをかなえるために、平成22年に改めて御霊(みたま)を「男石」「女石」に迎えたとのこと。
この二つの縁結び石のご祭神はもちろん大黒様です。
「男石」「女石」で良縁を願う
大黒様の前にある右側の石が「男石」、左側が「女石」です。
男石と女石に赤い紐をつなぐことで、良縁を願います。
ご縁(5円)玉のついた赤い紐は社務所でお守りを買うと一緒にもらえます。
お参りする際の大事なポイントは、男性との良縁を望む場合は「男石」、女性との良縁を望む場合は「女石」に結ぶことです。間違えてしまうと・・・大変ですよ。
そして恋愛成就したあかつきには再びお礼参りに参拝しましょう。社務所で「お礼参りの鶴を折りたい」と言えば「おりがみ(折り紙)さま」をいただけるので、鶴を折って奉納しましょう。
「魔去る(まさる)石」で幸せを勝ち取る!
そしてもう一つのパワースポットが鳥居の隣にある「魔去る石」です。「魔が去る」が転じて「勝(まさる)」ということで、幸せを勝ち取る石と呼ばれています。石の前には素焼きの杯が用意されており、魔去る石にぶつけて割る事で心願成就します。
厄除けの願いを込めて盃を「魔去る石」に当てて割れれば、幸せを勝ち取れます。盃が割れない時は、拾って砕けるまで投げましょう。杯は初穂料として100円で購入できます。
ハートの可愛い絵馬で良縁を呼び込もう!
葛原岡神社の「縁結び絵馬」はハート形。良縁を祈願する人も、すでに良縁で結ばれた人も、あまりの可愛さについつい手にしてしまう可愛い絵馬です。
また鎌倉の海岸で採れた貴重なサクラ貝を加工した「さくら貝御守」も良縁を呼ぶ御守りです。
「恋みくじ」を引いたら「運命の人と結ばれますように」とお願いしながら、「みくじ掛け」に結んで帰りましょう。