2019年1月15日更新
仏像の種類と特徴、見分け方
一般的に仏像というと、皆さんはどんな仏像を思い浮かべますか。
奈良の大仏や鎌倉大仏、また教科書などに載っていた興福寺の阿修羅像や広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像を思い出す方もいるでしょう。教科書といえば、運慶作の阿吽の像も有名ですね。
仏像というと、何となく優しいお顔の仏像を思いがちですが、阿吽の像のように、筋肉隆々でたくましく、ちょっと怖い金剛力士像も仏像の一種です。
ここでは仏像の種類と特徴について、ご説明したいと思います。
仏像は全て仏陀の姿
仏像は大きく分けると如来、菩薩、明王、天部の4種類あります。そもそも仏教は紀元前5世紀に実在したインドの釈迦族の王子として生まれたゴータマ・シッダールタが始祖ですが、彼は35歳で悟りを開き仏陀と呼ばれるようになります。
仏陀は苦しむ人々を救うため自らの悟りを5人の修行僧に教えたところから仏教は始まりました。初期仏教において、仏像はゴータマ・シッダールタのことを指しましたが、大乗仏教の発展とともに、阿弥陀如来や弥勒菩薩など、様々な仏の姿をした像が信仰の対象として生まれましたが、仏像は全て仏教の始祖である仏陀の教えを形にしているとも言えるでしょう。
ポイントを抑えれば仏像の見分け方は簡単
如来は悟りを開き、心理に目覚めた者を表します。
菩薩は悟りを開くに至っていない修行中の者を表しています。
明王は、如来や菩薩が優しく悟りを教えても、それを受け入れない人々に対して、忿怒(ふんぬ)の顔で叱咤激励し、悟りの道へ導こうとしている姿を表現しています。
天部はその意味合いが少し違います。如来、菩薩、明王は人々を悟りに導くための存在ですが、天部は人々が煩悩に侵されずに悟りを得られるよう応援する存在で、山門や寺院の入口等に安置されています。
4種類それぞれの仏像には決まりがあり、それぞれの特徴を把握していれば、簡単に見分ける事ができます。見分け方は髪型、顔の表情、衣服、手の形や持ち物というようにいくつかポイントがあります。
如来の特徴と見分け方
如来の髪型は、パンチパーマのような髪型<螺髪(らほつ)>です。これは如来特有のヘアスタイルです。
次に手の形を確認しましょう。薬師如来を除いて基本的に如来は手に何も持っていません。その代わりに手の形で仏様の心を表現しています。
OKサインをした仏様や坐禅を組む時に親指を上にして両手のひらで卵を包み込むような手の形をした仏像を思い出す人もいるでしょう。これらの手の形を印相(いんそう)と言いますが、印相にはそれぞれ意味があり、両手の組み合わせは数百種類以上あると言われています。
3つ目の特徴は衣服です。インドの女性が身につけるサリーのように、細長い布を身体に巻きつけるだけのシンプルな衣装です。布の巻き方には両方の肩を包む通肩(つうけん)と、左肩に布をかけ、右肩は露出する偏袒右肩(へんたんうけん)の2種類があります。
これらが如来の特徴です。
菩薩の特徴と見分け方
菩薩は出家する前のインド釈迦族の王子様であった頃の釈迦をモデルにしているので、如来に比べてとても華やかです。
髪型は地蔵菩薩を除き、髪を頭の上部にまとめあげ、手には蓮の花<蓮華(れんげ)>や甘い水の入った水瓶(すいびょう)等をもっています。
上半身は裸で細長い布を左肩から斜めにかけて背中から左脇に通してひとまわりさせて結び、長いスカート状の裳(も)をつけ、ネックレスやブレスレット、腕輪をつけているものも多く見受けられます。
明王の特徴と見分け方
明王の特徴は何と言っても顔です。如来や菩薩は優しいお顔をしていますが、明王は怒った顔をしています。
先程も述べましたが、如来や菩薩が諭しても言うことを聞かない人々を救うために、恐ろしい顔で睨むことによって、仏の道へ導こうとしているからなのです。
また不動明王を除いて腕が何本もあるのも明王の特徴で、手には武器を持っています。
そして、おでこには何でも見通せる第3の目を持っているのも特徴です。
天部(てんぶ)の特徴と見分け方
天部はもともと古来インドの神様でしたが、仏教の発展とともに、仏教を守る神様に転身してきました。
先程ご説明した如来や菩薩の性別は、その優しいお姿から女性を連想しますが、実は性別はありません。
ところが天部には明確に女神と男神がいるのも特徴です。
女神は古代中国の身分の高い女性が来ていた華やかな服を来ているものが多いようです。
男神は明王と同じく、怒った顔をしており、一部の天部を除いて鎧や兜をつけて武装しています。
まとめ
このように4種類の仏像の特徴を抑えれば、皆さんも簡単に仏像の種類を見分ける事ができます。
さて、仏像の種類を見分けたら、今度はその仏像がどんな役割をもっているのか知りたくなりますよね。
如来といっても阿弥陀如来もいれば薬師如来もいるというように、如来、菩薩、明王、天部、それぞれにたくさんの仏様が存在します。それらの見分け方については、また別の機会でご説明します。